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富士山からの月の出@立須
うさぎが覗き込むピークが剣ヶ峯
ひそかに企んでいた富士山頂からの天体出。計算では、今日、立須たちす(浜松市北区引佐町)から見えることになっている。
迫力のある画を撮るには、ある程度近くからの方がいい。裏富士の湖畔から撮った日の出などはよく見かける。同じ写真を撮ってもつまらないので、地元からの月の出を狙ってみた。時間も資金も自在な人とは土俵が違う、ということもある。

機材はコンデジのCaplio R2。三脚なし。立須の岩の上に押し付けての固定撮影。ピント∞、フラッシュ禁止、それ以外はオート。結果的にすべてISO-154、露出1sとなった。画像サイズは1280×960。
画像は、最大ズーム相当に引き伸ばし、VGAサイズにトリミングしている。

ずっと晴れ続きだったのに、この日だけは「夜には雨」予報の曇り。都合が付かず、時間ギリギリで真っ暗な道なき道を駆け上がる。息を切らしてたどり着いた17:10ごろには月の出開始。雲と暗闇で狙いも定まらず、なんとなく明るい方向を光学ズームいっぱい(135mm相当)で撮りはじめる。いくらか確認できるようになってからは、デジタルズーム(×3.6、500mm相当)も効かせる。肉眼では、なにやら歪な形で昇ってきたようには見えたが、それが雲なのか山並みなのかは判別できず。とりあえず満月が昇りきったのを確認して下山。

PCで確認すると、どうやら山頂の形が浮かびあがっているようだ。

昼間の富士山の写真はフォト蔵のよっくん氏によるものを拝借。

2022/1/1追記
昨年12月、義幸氏がお亡くなりになりました。地域に根ざした地元を盛りたてる活動をされる方でした。ご冥福をお祈りします。

ダウンロードして38%に縮小すると、ピクセルあたりの拡大率が、R2での最大ズーム(デジタルズーム込み)時と同じになる。少しトーン調整をしている。
昼間撮影は自らも試みたが、まったく話にならないレベルで却下。

画像品質と撮影間隔から適当なものを数枚チョイス。すべてデジタルズームを使ったサイズ(500mm相当)に引き伸ばして揃える。画質を見ると、デジタルズーム無し画像を引き伸ばした方が良い。超望遠にして無理に写角に収める苦労は無駄のようだ。

手撮りで傾いているので角度を微調整。ここまではPhotoMagicおまけ版で行う。三脚固定でインターバル撮影が出来れば、はるかに楽ができるのだが仕方がない。

位置調整は、WinXPに入っていたWindows Movie Makerで「並べて動かして」、MS-Paintで「切り貼りして」を繰り返す。最後にMovie Makerで、フェードなど簡単な特殊効果を追加して完成。

……のつもりだったが、画質が良くない。
Movie Makerは、直感的に映像を作るのに適したソフトで、特殊効果の種類も豊富。一般用途には十分だが、もう一歩こだわりたいところで機能が省かれている。フェードの時間調整しかり、エンコード形式しかり。
エンコード形式に関しては、Windows Media Encoder 9でプロファイルを作り、%ProgramFiles%\Movie Maker\shared\profilesあたりに保存すれば独自形式も可能、とのまことしやかな情報があるが、WMM2.1.4026.0ではWME9.00.00.2980のプロファイルは認識されない。解明に挑んでいる人もいるようだが、おそらく「仕様」なんだろう。

そこでAviUtlを使ってみる。最近「拡張編集」という機能が追加されたようで、本件にはピッタリ。いくつか不満な点もあるが、フリー映像処理ソフトの定番のひとつと言われるだけのことはある。
複数枚の合成は、AviUtlでは目的どおりにいかなかったので、KikuchiMagickを使い、比較明合成で1枚の画像にまとめた。多くのサイトでは、ImageMagicの紹介があるが、こちらは何も考えずに使えて便利。
最終的に、1240×930 29s 15fps WMV9 2-passVBR 10Mbps(peak20Mbps)設定で5.8MBとなった。




月の出が富士山と重なるかどうかは、ある程度の精度で計算する必要がある。月の大きさは約0.5度。 出没の方角は、通常「方位角」で表す。北を0度として東回りに測る。

まず立須から富士山の見える方角。立須の位置は、北緯34度51分00秒、東経137度41分58秒あたり。富士山頂火口中心部は、北緯35度21分46秒、東経138度43分51秒。座標は電子国土ポータルなどで調べられる。距離と方位角の計算ページで計算すると、およそ距離110km、方位角58.5度と出る。東北東よりやや北。
ちなみに、地図平面上にあるものとして計算すると、距離があるため5度も誤差が出てしまう。

次に月の出の方位角。月出没時刻・方位角計算のページに入力すると、度単位まで計算される。また、距離と標高差から仰角が計算でき、頂上から出る時の方位角と時間が求められる。立須の標高はおよそ350mなので、標高差は3400mほど。今回は前日と並んで58度と計算された。
天球上の位置を求められる太陽と月の位置データの計算(なぜかこちらも同じ)ページなどもあるので、それと現地の緯度と仰角からも方位角は計算できそう。

1公転の中で富士山に絡めそうなのは、もっとも北に見えるとき。今周期では2日チャンスがあったわけだが、昨日は空の青い時間帯。月が月らしく照り、シルエットが浮かぶのは今日だけ。11月、10月と遡れば夜間に北に寄るが、月はやや痩せており、また見通しが悪い季節になる。
いろいろ入力してみると、来年、再来年と年を追うごとに、方位角は大きくなっていくのが判る。18.6年周期の好条件期は最終盤に入っている。



2009年12月21日追記

埋め込みのAVIファイルは、Youtubeにアップロードしたものに差し替えた。

ちなみに、富士山から月が昇る(沈む)ことを「パール富士」と呼ぶらしい。
皆既日食後、月縁の谷間から太陽光線がこぼれる瞬間を「ダイヤモンドリング」という。富士山頂から日が昇る(沈む)ことを「ダイヤモンド富士」と呼ぶ。鋭く輝く太陽に対し柔らかに灯る月を真珠に喩え、こう呼ぶらしい。

キーワードが判ったところでググってみると、ものすごい数がヒットする。今年11月に御殿場で見られたものは、大きく採りあげられている。富士山近隣へは、熱心な好事家が集うという。
また、カシミールというフリーソフトを使うと、富士山による食の日時などが計算できるらしい。

ダイヤモンド富士は、シルエットと鋭く射抜く光。これは富士山のそばで迫力ある画を撮りたい。対してパール富士は、大きく柔らかい灯りを表したい。それには遠方から挑む方が良さそうで、100km余の浜松では、お鉢が納まる程度に見える。できればさらに遠方の愛知・三重あたりのほうが理想的……そんなことを考えながらページを繰っていくと、月影の影絵富士なる分類がすでにあり、三重県の夫婦岩から撮影もされていた。ここは日の出(一応、ダイヤモンド富士)では有名な地という。富士山から実に200km。
富士山の見える最遠の地は300km超という。こうなったら、シルエット全体が包まれそうなこのクラスを狙っていく……人はいないものか。

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