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明けなかった'93以来の遅い梅雨明けとなった今年。盆が明けると一気に秋の風になった。多くは盛夏の前に実るため、特に影響はない。春に伸び、咲いたキイチゴたちのその後。


エビガライチゴ(Rubus phoenicolasius

エビガライチゴ 6月15日。そろそろ熟し始めた。
中央上の、毛が生えかけた雛鳥の頭のようなのが未熟果。右が完熟3日前ごろ、左がほぼ完熟。その後額片はさらに開ききる。
夕暮れ時の撮影のため、色がよく判らないが、毛は濃赤色、完熟前のが橙色、完熟が真紅。葉は黄緑がかっている。

エビガライチゴ苗1
エビガライチゴ苗2
生えていた場所、成長の具合などから、暑さに弱いのかもしれない。生まれ育ちから暑ければ、暑さに慣れるのでは、もしくは強いタイプが生き残るのではないか、など考え、昨年採り播きしておいた。

6月11日に発芽しているのを見つける。葉の大きさは5mm前後。多少の大きさの違いはあるものの、この段階ではどのキイチゴもそっくり。半数ほど生き残っているようだ。
下は9月3日。赤い毛で覆われ、3出複葉が出てきた。頂葉の長さは2.5cm。すっかりエビガライチゴらしい姿になった。来春は無理そうだが、来々春には咲いてくれそう。



カジイチゴ(R. trifidus

おおむね5月に熟すが、同時期にもまだぽつぽつ花を着けている。40日ほどで熟すため、遅いものは7月にかかる。


クサイチゴ(R. hirsutus

早くから咲くこともあるが、おおむねカジイチゴと同様。ただし、だらだら咲き続けることはまれ。


クマイチゴ(R. crataegifolius

クマイチゴ 5月23日の様子。20日ごろ熟した。
無肥料8号鉢、樹高50cm程度で収穫10個以上、さすがにきついと見えて、結果枝は熟しきるかどうか、というところで早々に枯れた。もう少し肥料をやるなどかわいがって、剪定で頭を止め枝を増やす方向にすれば、この鉢でも30個やそこらは採れるかもしれない。


コジキイチゴ(R. sumatranus

コジキイチゴ 庭のコジキイチゴは大豊作だった。ただ残念ながら、すべて熟す前に枯れてしまった。

5月29日。写真でも既に枯れかけている。鉢植えがそばにあり、水切れは考えづらい。
枯れたコジキイチゴ 6月11日。熟すまでもたなかった。
昨年も、新しいシュートがなかなか出ずに、もうダメかと思わせたが、遅ればせながら出てきて今年の実りになった。しかし今年はついに出ず。根も枯れたのを確認した。
抜いてみると、太い根が70~80cmほどもあった。かなりの広範囲に根を張っていたよう。もしかしたら、水は切れてないものの、もっとずっと湿潤でなければならないのかもしれない。
自生コジキイチゴ1 自生コジキイチゴ2
7月2日、おちばの里親水公園付近で見かけた株。植林された林床に、鬱蒼と茂るシダ類。そこを通る作りかけの林道脇に生えていた。道ではあるけれど表面は水が流れているような場所。よほど居心地がいいのか、2mを優に超える樹高。前年枝にはたわわに実っている。

水はけは良さそうなのに水っぽい。ふと葦毛湿原を連想した。湖西連峰をまたげばそこにある。植林など手が入ってなければ、いまでもパラダイスが存在していたかも。


ナワシロイチゴ(R. parvifolius

ナワシロイチゴ 6月6日、熟し始めた。固くつぼんでいるのは、授粉した未熟果。半開きなのは授粉しなかった花の残骸。
豊作のナワシロイチゴ 6月20日、通路脇で豊作の様子。


ニガイチゴ(R. microphyllus

ニガイチゴ 20日ごろ熟した。最近はあまり手をかけてないので、ちょっと元気が落ちてきている。


バライチゴ(R. illecebrosus

バライチゴ
現在のバライチゴ
順調に大きくなっている。8号鉢がすっかり隠れるほど。
2枚目は現在。だいぶ虫に食われた。また、葉焼けの様子も見られる。半日陰程度がちょうどいいのかもしれない。育ちは悪くないので、来春はひとつふたつは開花が望めるかもしれない。


ヒメバライチゴ(R. minusculus

ヒメバライチゴ
現在のヒメバライチゴ
7月初旬、富士見岩あたりを下見に行ったときに見つけたもの。引っ張ったら、1本+地下茎20cmほどがついてきた。
それから2ヶ月たらず。現在は、地下茎から2本のシュートが出ている。来春にも咲きそう。


フユイチゴ(R. buergeri


7月26日、開花を見つける。蔓先端部では穂状に、脇芽では数個が固まるように咲くよう。
一見すると、蕾がたくさんあるようだが、授粉後に萼がつぼんだものもある。萼どうしの重なりが、蕾ならぴっちりきれいにそろっているが、開花後のそれは微妙にずれたりしているので判別できる。授粉しなかったものは半開きのまま枯れる。
この実は、晩秋に熟し始める。


モミジイチゴ(R. palmatus

丸弁モミジイチゴ 写真は現在の丸弁株。見事にまっすぐ上に伸びている。樹高1.3mほど。細葉、細弁は普通にしなだれている。
かなり葉焼けしている。例年より酷い気もするが、多かれ少なかれ焼けているものなので、心配はないと見る。きれいな葉のまま保つには、やはり盛夏の遮光は必須か。

放っておくと結果枝は真夏の盛りに枯れるが、新シュートが伸びる邪魔にもなるので、今年は早めに剪定して除いておいた。


雑種:カジコジキ(R. trifidus × R.sumatranus ※※)

カジコジキ1
カジコジキ2
播き床からポットへ、プランターの土で植えつけた。成長は芳しくなく、一鉢は枯れ始めた。
水はけの悪さ、鉢の小ささなどが影響していると思われる。キイチゴ類は、ともかく大きな鉢で、水はけのいい用土で、たっぷり水をやる。強靭なカジイチゴの血が入っているとはいえ、基本は守るべきだった。

父母を取り替えて交雑させてみたが、カジイチゴを母に持つほうがすこし変わったものが出ているよう。かなりスレンダーなもの、鋸歯がやたら大きくずんぐりむっくりなもの、など。
ただし、劣悪な生育環境の影響も考える必要はある。


雑種:コジキカジ(R. sumatranus × R.trifidus ※※)

コジキカジ こちらも生育はさほど良くない。
変異はカジコジキに比べて小さく、成長度合いも比較的安定に見える。3出複葉を基準に、頂葉が3裂。側葉が割れかけているものもある。


雑種:カジモミジ(R. trifidus × R.palmatus ※※)

カジモミジは、全体に大きくなった以外、特に変わりばえなし。
大振りモミジイチゴ風は、枝垂れ気味ながら順調。50~60cmぐらいにはなっただろうか。
育ちの悪い小葉株は、鉢を覆う規模まで繁茂。それでも葉の大きさは5cm*4cmがせいぜい。樹高は30cmいかない。葉面はつやつやで、棘はあるもののカジイチゴをそのままミニチュアにしたよう。
元気は良さそうなので、来春は期待。


雑種:トヨラクサイチゴ(R. × toyorensis

生っても数粒が熟すだけの超歯抜け状態だが、今年は実が生らなかった。
生ったときの種を播いたものがあるが、トヨラクサイチゴそのものに見える。ただし発芽率は非常に低く、出たものも成長は芳しくない。植えてある鉢の大きさが違うので、その影響はあるかもしれない。
親株はあまり構ってやってないので、樹高は50~60cm程度、3出複葉どまり。元気のいい株では7出にまでなることもあるのだが。


雑種:ヒメカジイチゴ(R. × medius

カジモミジのはずだったヒメカジイチゴは生ったものの、もともとのヒメカジイチゴ株はダメだった。水はけが悪くなって元気がない。植え替えが必要かもしれない。

ヒメカジイチゴの実生苗も育てているが、これはニガイチゴそのものの風体。葉、蕾、花、花後、果実、どれを見てもそっくり。特に隔離もしてないので、ニガイチゴとの戻し交雑などの可能性もないわけではないが、どう見てもニガイチゴ。トヨラクサイチゴのように、親子そっくりにはならないようだ。


ブラックベリー・エバーグリーン(R. laciniatus ※)

エバーグリーン開花
エバーグリーン結実
6月1日の様子。すでに散ったものも見られる。切れ込みだらけの薄ピンクの花弁。
6月26日、熟し始める。

苗を植えつけた年は、8号鉢ながら5mも伸びた。が、そのまま植え替えずにおいたところ、シュートの伸びは著しく減退。根が回りきったのではないかと想像。ものすごい棘を持つので、この程度のおとなしさでないと、管理は大変。


ブラックベリー・ソーンフリー(R. fruticosus ※)

ソーンフリー新芽 7月3日の様子。草刈りの残骸から救い出してきたブラックベリーに、ようやくまともなシュートが出てきた。
長い枝を拾ってきて、長いまま鉢底近くまで深く埋め込んで挿したため、深いところで発根萌芽し、1年をかけてようやく出てきたのではないかと想像。この分なら、来春は問題なさそう。


ボイセンベリー(R. ursinus × R.idaeus ※)

ボイセンベリー1
ボイセンベリー2
6月11日の様子。

カレー屋でもらったボイセンベリー。ようやくひとつだけ「らしい」実ができた。授粉が上手くいかないと、葉抜けや丸っこい程度の実になってしまう。
施肥してないので収量は数えるほど。棘もなく、それほど猛烈に伸びるものでもなさそうなので、来春に向けて多少施肥することにする。


ラズベリー・インディアンサマー(R. idaeus ※)

インディアンサマー 5月29日、熟し始める。6月6日撮影。
写真では判らないが、ヒョロヒョロなところに痛々しいほどたわわに実り、生えている地点より下まで枝垂れてしまっている。豊産種。


ラズベリー・ファールゴールド(R. idaeus ※)

ファールゴールド インディアンサマーに少し遅れる。こちらも華奢な体に似合わないほど実らせる。
6月5日熟す。6日撮影。未熟果から完熟果の色の変化。



学名出典:

無印……YList
※……Wikipedia キイチゴ属
※※……文献無し


学名に関するページ:

・ 名、種名などの表示方法とラベルの書き方……雑種等の学名の書き方
・ 学名の表記について
・ Wikipedia 学名


その他情報:

・ 鳴橋直弘 …… キイチゴ属ほかの権威らしい(トキンイバラ R. tokinibara (H.Hara) Naruh. など)
・ はし3のキイチゴの種 …… 精細なスケッチあり
・ Kaz's Berry Garden:ベリーの種類 …… ベリーと付くものの一覧

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