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4月20日ごろの各紙に、鋼鉄より強いポリプロピレン(PP)が開発された、という記事が載った。広島大学の特任教授、彦坂氏らによる。
PPは、タッパーのボディや荷物をしばるPPバンドでおなじみのプラスチック。これを製法を工夫することで、エンジニアリングプラスチック相当にすることができた、という。

情報をまとめてみる。



製法は、PPの融液を150℃(出典:47news)という過冷却状態にし、10msで半分(出典:YOMIURI ONLINE)という速度で、一気に押しつぶしてシート状にする。これにより、細かな結晶ができ均一に並んで結びつき、従来は非結晶が半分含まれていたところ9割超を結晶化することができた。そのため、強度が大幅に上がり、透過率99%という透明な状態になり、耐熱温度も通常PPより50℃高い176℃まで上げることができた。弾力もあり、折り曲げても元に戻る。比重は0.94で水に浮く。

引っ張り強さは、通常のPPの7倍、鋼鉄やステンレスの半分。比強度(密度あたりの引っ張り強さ)は、鋼鉄の2~5倍、アルミの6倍。この比強度をもって、「鋼鉄より強い」の見出しが付けられている。

厚さを倍にすれば、鋼板と同等の強度を持ちながら重さは1/4ですむ。透明度が高いため、ガラスの代替も考えられる。自動車、航空機、建築物などに使えると見ており、車に使えば車重は半分になると見積もる。価格は、圧縮工程が追加されるだけなので、現在のPPと大差ない。FRPのように混ざりものが入ってないので、リサイクルにも有利。

プレスリリース:鉄鋼のように強い汎用プラスチックの創製



ナノ粒子化や高純度化などが目立っていた気がするが、製法の工夫でも新境地が開けることを示した良い例かもしれない。素人工作でも、おおまかな確認試験ができそうな簡易さと性能向上で、コストパフォーマンスもかなり良さそう。

大きな期待を寄せてしまうが、耐薬品性や耐候性の記述が見当たらない。キシレンを入れたハンドラップの蓋は膨潤してしまったし、1年間雨晒し日晒しのタッパーは、手で簡単に割れるほどに脆化していた。自動車に使うとなれば、耐衝撃性や、物理的な損傷による大きな強度劣化が無いか、可燃性であること、なども気になる。
今後に期待したい。

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