since 2007.8 by K-ichi

ふと、コンデジで星野写真を撮ってみようと思った。カメラは、とうに生産終了のCaplio R2(RICHO)
ちょうど寒気が来て、空気は澄み、透明度は抜群。23時ごろには、カノープスも瞬いて見える。こういうときの星は、遠目に眺めるに限る。冬空は1等星が多く、劣悪シンチレーションと相まって賑やかい。

星座もいいが、せっかくなら赤い星雲が撮りたい。オリオンの秘所にあるM42をはじめ、馬頭(の背景)、わし、ばら、北へ向かえばカリフォルニアなど、有名どころが並ぶ。さらには、やたらとデカいエンゼルフィッシュやバーナードループなどもある。
いろいろ調べると、F3.5、ISO800、5分ほどでもバーナードループは写るらしい。存在の確認だけなら、それほど高い壁でもなさそう。R2にはインターバル機能があるので、ひたすら枚数を稼いでコンポジットすればいけるかもしれない。

R2のレンズはF3.3。望遠側ではF4.5まで暗くなる。少しでもF値は稼ぎたいので、広角側でオリオン近辺を大きく撮ることにする。
R2はGX系と違い、痒いところに手が届かない。露出は8秒、ISOは800までしかない。RAW出力だのダークフレーム減算だのは当然できない。CCDサイズも1/2.5型と一回り小さい。

とりあえず次のような設定で撮ることにした。
f=35mm相当(ステップズーム使用)、F3.6(マニュアル設定不可)、露出8秒(最大)、ISO800(最大)、ピント∞、露出補正無し、ホワイトバランスは曇り、フラッシュ禁止、10秒インターバルで連続撮影、1280*960ファイン(ノーマルorファイン)、液晶ファインダーは点灯。

三脚に載せ、試し撮りをしながら構図を追い込む。8秒で撮れば、オリオン近辺の星座の形は、液晶表示でも確認できる。位置が決まったら、シャッター押し時のブレを防ぐためタイマーで起動して、インターバル撮影を開始する。
ちなみに、高感度フィルム(=粒子大き目)で標準レンズの場合、天の赤道で星が流れない秒数は15秒という。大雑把に計算すると、1枚の写真に対して高感度フィルムの粒子と今回のピクセルサイズは同程度の荒さ、しかも焦点距離は短く露出時間も半分なので、ガイド無しの固定撮影とした。
20分あまり続け、120枚ほど撮れた。


ダークフレーム(一部) 長時間露出するデジカメ撮影では、ダークフレーム減算は必須といわれる。CCDには、ホットスポットという欠陥が多少なりとも存在し、また自身や周辺回路による熱ノイズも発生する。一般には、同等条件で撮影したダークフレームのRAWファイル(生データ)を使うが、R2ではそれは得られない。なるべく高画質のJPEGファイルで代用してみる。

ダークフレームも、実際に撮ってみるとかなりざらつく。スムージングおよび実験を兼ねて、別途連続撮影してみた。
レンズにキャップを噛まし、タオルで巻き覆いを被せて、光を防ぐとともに熱もある程度こもらせてみる。各種設定は星野撮影時と同じにする。25分ほど撮り続け、152枚のダークフレーム画像を得た。デジカメ本体はほんのり暖かくなっている。
トーン補正をきつめにかけて、いくつかかいつまんで眺めてみると、左上がピンクにかなりカブっている。ただ、撮り初めと撮り終いとで見て判るような差はない。また固定のスポットは、ざらつきに埋もれて判らない。
目立つ熱カブリがおおよそ除去できればよし、ということで、152枚すべてをコンポジットし、滑らかな「ダークフレーム擬」画像を得た。滑らかになると、いくつかのホットスポットも見えるようになる。
画像は、ダークフレームを強調処理し、左上1/4を切り出したもの。

このコンポジットには、月と惑星の天体写真ギャラリーの「Astro-IMaging(AIM)」を使った。AIM関連パッケージというリンクが本体、runtime.exeというリンクがランタイム。WinXP SP3ではランタイムも必要だった。
このツールは、基本BMP形式しか扱えないので、まずはJPEGからBMPへ一括変換する。ヘルプに従い、左上のフォルダリストからフォルダを開き、左下に表示されたファイルを選んで「BMPファイルとして保存」……すると、すべて同一BMP画像になるという凄いバグがある。フォルダを開いたら、AIM側で全選択し、そこへexplorerから当該ファイルをドラッグし、AIM側で全選択のままBMP化を行う。できたBMPファイル群を選択し、「コンポジット(加算平均)」または「ダークフレーム作成、登録」を行うと、「滑らかなダークフレーム疑」が得られる。

AIM上では、作成したダークフレームを使って、撮影ファイル群を一括して減算処理することができる。できたての無劣化BMPファイルを使えるので、比較的きれいに引ける。
いったんJPEGで保存したファイルを使って、ダークフレーム減算できるツールもある。現在は公開を終えているが「デジカメ-ノイズリダクション」というツールがある。いくつか勝手公開サイトもあるようだが、Web Archiveの、2005年あたりの分にバイナリも残っている。ちなみにこのツールは、Exifファイルしか扱えないらしい。普通に作ったJPEGファイルではエラーで蹴られるので、F6 Exifなどで適当なExifデータを追加してやる必要がある。
他には、SiriusCompあたりも使えそう。

ただし、現在の世の常識はRAWデータによる処理。ほとんどのツールはRAWにしか対応していない。


ダークフレーム減算ができたら、いよいよコンポジット。切りのいい枚数でないとよろしくないらしいので、96枚で13分弱露出相当、ということにした。普通であればバーナードループも余裕で写る露出時間。

コンポジットにはYIMGを使った。
このツールには、ファイル読み込み時に自動的にダークフレームを引いてくれる機能がある。ただしそのダークフレームはRAWデータのみなので、今回の用途では使えない。

このツールは4枚ずつしかコンポジットしてくれない。その代わりに、多少の位置のズレは直してくれる。手間ではあるが、4枚ずつ24回、それをさらに6回、3枚ずつ2回、ラストに2枚を合成して計33回の平均化コンポジット作業で1枚の画像を得た。各段の中間ファイルは、ビット落ちを防ぐために48bitTIFFを使った。
できあがった画像は、見られる輝度レベルになるように、トーン補正など簡単な処理を施した。

ダーク減算なしのオリオン JPEGダーク減算のオリオン AIMでダーク減算のオリオン

1枚目がダークフレーム減算なし、続いて「デジカメ-ノイズリダクション」によるJPEGダークフレーム引きのもの、最後がAIMでのダーク引きのもの。
ダーク引きが無いものは、ピンクカブリがよく見える。星はそれなりに写っており、6等星+αといったところ。画角的に光害に見えなくもないが、これはCCDの熱カブリ。
JPEGでダーク引きしたものは、引き残しが斑になって残る。ちょっと見苦しいが、ノイズレベルが下がった分底上げができるのか、微光星は前者よりやや見やすい。
最後のAIM上でのダーク引きのものは、かなりきれいに引けて、背景は均一に暗くなっている。ただ、微光星も消えてしまい、さらには横方向に刷毛で掃いたようなノイズが広範囲に出ている。コンポジット前の画像でも掃いたような痕になっており、ダーク引きでの不具合なのは判るがどうにもならない。

ちなみに、両サイド縦方向に細かくスリット状に見えるのは、固定撮影で星が動いた分を、コンポジットの際に合わせたため。また、周辺画像が著しく流れているのは、歪曲(収差)のある広角レンズで撮ったものを、無理に合わせこんだため。広角レンズでは、天球面を平面に射影するため、幾何学的に歪みが発生する。ガイドしながら撮影すれば、これらは解消されるはず。


そもそもの目的の赤い星雲は、まったく撮れなかった。ベテルギウスと熱カブリ以外は「色気」のない画像。フィルムの固定撮影ですら確認できるM42も、少しも赤くない。基本的に赤に弱いのか、たった8秒しか露出を掛けられないためか。最微光星が6等程度というところからすれば、暗がりは得意ではなさそう。良く取れば、人の視覚を忠実に再現している、とも言える。

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