since 2007.8 by K-ichi


エバーグリーンは終盤戦
猛暑が続いたと思ったら、盆はすっかり天候不順。カッと晴れては大粒のスコール。昨日未明に見えるはずだった金星食も、雷雨ではどうしようもない。

ブラックベリー系はまだ生っている。大粒で大量で艶々していい感じなのだが、デカい種入りでカメムシに集られては収穫する気が起きない。

多くのキイチゴたちは、シュートを成熟させつつ暑さをしのいでいる。鉢植えなので、伸びすぎたものはどんどん刈る。8号鉢では、1mを超えるようではバランスが悪い。株と相談しながら、丈や本数を調整する。
施肥量が増えてびっくりしたのか、ラズベリー(Rubus idaeus ssp. idaeus)が異様に伸びたのが気になる。2期生りなので剪定するわけにもいかず。1m以上に伸び、しかもねじ曲がって、帯化の気すら感じる有様。



ハスノハイチゴ
ハスノハイチゴ(R. peltatus)の葉が傷んできた。

以前読んだハスノハイチゴの調査資料によれば、生育地は比較的高地だが、遮光をすれば長野県平野部でも元気に育つ、とあった。ひと月前にはほとんど褐変は無かったが、満遍なくじわじわ進んできている。猛暑か日照か、そのへんから来る葉焼けかもしれない。

背丈は1mほどになっているが、先端成長部は枯れ、これ以上は伸びそうもない。



ミヤマニガイチゴ

ミヤマニガイチゴの花
9日、ミヤマニガイチゴ(R. subcrataegifolius)は、2度目の開花をみた。既に咲き終えたものもあった。

今年出たシュート先端、およびシュートの枝先端に1花ずつ。すべてに着くわけではなく、半数程度。全部で5花ほど。
ちょうど1年前の採取で、まともに越す夏はこれが初めて。ラズベリー類のように、もともと2期咲きの傾向があるのか、それとも環境の影響なのか。ニガイチゴ(R. microphyllus)では秋花、秋果は見たことがない。ラズベリーの秋の蕾もまだもう少し先。


先月19日にフユイチゴ(R. buergeri)らが、やや遅れて月末にオオフユイチゴ(R. pseudosieboldii)が開花した。


フユイチゴの花

フユイチゴの花(正面)

フユイチゴの葉


オオフユイチゴの花

オオフユイチゴの花(正面)

オオフユイチゴの葉

図鑑によれば、フユイチゴとの違いは「全体に大きく、黄褐色の開出毛を密生」とある。自生地では大きめだったと記憶するが、並べて比較できないので難しい。毛については、黄土色の毛が全体に生えている。これは合致する。
このほかの特徴としては、花弁は大きめで重なり合い、ごわごわとしわが目立つ。葉は円頭が多い。

フユイチゴとミヤマフユイチゴ(R. hakonensis)の判別は苦労したが、こちらは見てくれの雰囲気でも違いを感じる。


雑種を播いたものも一気に伸びた。


トヨラクサイチゴF3

トヨラクサイチゴF3頂芽アップ
トヨラクサイチゴ(R. × toyorensis)(=F1)は、非常に結実しにくい。その子F2は、よく実を着けるものもあれば、親同様のものもある。葉は3出+2裂1対で、ボイセンベリー(R. ursinus × R. idaeus ※)のような形。3出部が掌状で小葉の幅が広く重なり合うような株は、よく実が着く。

その子F3がこの写真。葉の形は似ている。特徴を見るのはこれからだが、どうもトヨラの子はずっとトヨラ系になるらしい。



カジモミジ小葉(左:F1、右:F2)

カジモミジ小葉F2頂芽アップ
カジモミジ(R. trifidus × R. palmatus ※※)小葉F2も元気がいい。

親株はカジイチゴ(R. trifidus)を矮化したような形。花や実は、モミジイチゴ(R. palmatus)風に着く。
稔性が悪いのか栄養不足のためか、大小あわせて8粒しか播けなかった。発芽しても育たないものもあることを考えれば、2株育ったのは率がいい。既に親株を凌駕する成長ぶり。

葉の形は、親ともその兄弟(通称トゲナシイチゴ)とも異なって見える。まだなんとも言い難い。
小葉株は、部分的にトゲが多い。見るからにトゲだらけの様子は親譲りか。



コジキカジF2
コジキカジ(R. sumatranus × R. trifidus ※※)F2は、どうやらコジキイチゴ(R. sumatranus)そのものが出てきたよう。F1は3出複葉からそれぞれ割れていくが、いきなり羽状複葉になって、しかも全身赤毛まみれ。どこからもカジイチゴ(R. trifidus)の血が感じられない。

ヒメカジイチゴ(R. × medius)からはニガイチゴが育つが、これと同じパターンだろうか。
ひと月半前のものがここまでになった。



コジキイチゴの挿し木

コジキイチゴの挿し木(蕾)

コジキイチゴの挿し木開花

コジキイチゴの挿し木開花(横)

コジキイチゴの挿し木が、今日また咲いた。

今初夏、コジキイチゴの結花枝を2本採取。1本は花瓶に生け、もう1本は半分に切って団子挿しとした
花瓶のものは、咲いて完熟に至ったので、その後挿し木した。1月半経った現在も、葉は落ちたものの緑を保っている。
初めから挿し木にしたものは、頂部挿し穂は花瓶差しと同時期に開花結実した。下部挿し穂は、もともと花芽がなかったが、最上部の葉腋から枝を伸ばして開花結実。その後、地下にある2番目の葉腋から枝を伸ばして、それが咲いた。
花弁は緑化し、雄蕊は短くなり、萼も細長く、正常ではない。それでいて雌蕊だけはまともに見える。

カジ、モミジ、クサ、ニガなど多くのキイチゴは、調子が悪ければ雌蕊から省略するが、この種は逆。
普通に育てても枯れるのに、挿し木は着く(もしくは長期生きる)。挿し穂だけなのに実まで着ける。強いのか弱いのか、なんだかよく解らない種……



カジナワシロF1
キイチゴ類は白花が多い。ナワシロイチゴ(R. parvifolius)、クロイチゴ(R. mesogaeus)など一部に紅色がある。実の色は赤が多い。モミジイチゴ、カジイチゴなど、一部に黄色がある。
実の色は赤が優性で、カジモミジ、カジコジキなど、黄色どうしの掛け合わせでないと黄色にはならない。花の色はどうだろう、ということで、カジナワシロ(R. trifidus × R. parvifolius ※※)を試してみた。

2009年5月に挑戦するも、すべて結実に失敗。ちょっと変わった花の形なので、念のため花粉を確認。1%寒天10%ショ糖液を作り室温冷却、花粉を播いて2時間後に観察。1/3ほどに発芽が見られた。問題はなさそうだった。
2010年は、両花とも萼と蕊だけに加工し、雄蕊の着いた花を被せて蕊どうしの位置を調整、セロハンテープで固定する方法を取った。受粉時期に安定して接触させ、雨等の濡れを除け、虫媒による交雑も防ぐ目的。無事カジナワシロは結実をみたが、ナワシロカジは全滅だった。
6月に160粒あまりを採り播きしたが、翌春はっきり発芽を確認できたのは1粒。気を抜いていたら、いつの間にか見失った。
2011年に三度挑戦。結実は成功、熟したところで一部鳥に食われるが、80粒を確保。播種は9月に行った。今年4月に発芽をみたのもわずかに1本。

成長が非常に悪い。本葉は2枚出たが1枚は無くなった。大きさは5mm程度。写りこんでいる白いネームプレートと比べると、小ささが判る。頂芽も無くなってしまったように見える。葉が赤黒く、今にも枯れそうだった。施肥も効果はなく、枯れるなら枯れろと炎天下の直射日光に当てる荒療治をしたところ、赤っぽかった葉は緑色になって現在に至る。



学名出典:

無印……YList
※……Wikipedia キイチゴ属
※※……文献無し

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