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Caplio R2では赤い星雲は写らないことがハッキリしてしまったが、往生際悪くもう少しいじってみた。

このカメラでは、6等星+αが写るかな、程度の認識。ところが写真限界等級(極限等級)は計算できるらしい。前回撮影の28mm相当では約6.5等になる。結構いいセン。
ネット上でよく見かけるのは以下の式。天文年鑑に載っているとのこと。
mp = ms + 5log f - 2.5log d - 23.1
mp:写真限界等級(等) ms:空の明るさ(等) f:焦点距離(mm) d:星像の直径(mm) logは常用対数
一般に、ms=22、d=0.02あたりと置く。次のような式を掲げるページもあるが、ほぼ同じ意味になる。
mp = 3.0 + 5log f
なんとなく口径やFやISOなどが入ってきそうな気もするが、十分な露光時間を取った上での限界値、ということのよう。
限界等級は、背景の暗さと、レンズの焦点距離と、収束スポットサイズに依存する。どうにもならない2条件はともかく、光学ズームを伸ばせば限界等級も伸びるらしい。


オリオン座下部

星図 (Heavens-Aboveより)

M45(すばる・プレアデス星団)

星図 (富山県のページより)
CaplioR2のテレ端は135mm相当、22.2mmとある。式に当てはめると、なんと9.9等。
焦点距離を最大に伸ばし、他は前回と同じ設定で、オリオン下半身、およびプレアデス7姉妹を撮ってみた。

9等10等というと、かなりのものが写りそうだが、あくまで星の話。星雲の類は期待できない。
そもそも赤い星雲は写らないし、面積のある対象はF2に反比例して写らなくなる。F3.3→F4.8では、倍以上の露出が必要になってしまう。


最初の写真。相変わらず色気がないが、M42(オリオン大星雲)が多少写っている。
写ってはいるけれど、F3.3、ISO3200、2.5秒、光害カットフィルタ併用とか、F5.6、ISO3200、15秒とかにも負けてる感じ。8分半の努力は報われてない。星像もだいぶメタボ気味。

星図は、Heavens-Aboveのもの。
予報で表示される星図をクリックすると、精細な拡大図が表示される。それでオリオン座付近を表示させたもの。最微光星は8等星らしい。

三つ星や小三つ星(M42近辺)などで確認すると、8等星は普通に写っている。他の写真などと見比べて、9等クラスを謳ったら欲張りすぎか。
最微光星は、好いところで2×2px程度に見える。1280×960pxでの2pxは、フルサイズフィルムにすれば0.054mm。3pxなら0.081mmに相当する。上の式に当てはめると、それぞれ8.8等、8.4等になる。十分に8等星が写っていることと、つじつまが合う。

同夜にM45(すばる、プレアデス星団)も撮ってみた。空の良し悪しの指標にされるので、詳しい星図がネット上にあるだろう、という目論み。
借りた星図は富山県のページのもの。11.4等まで描かれている。
見比べると、8.0等は写っているが8.6等は見えない。8.3等の星もあるが、分解能が低くて分離できてない。3pxのボケで8.4等限界、あたりが妥当な線だろうか。


今回もオートガイドで撮影したが、微妙なズレが発生した。Yimgで自動合成させると、64枚、8.5分で、長辺2px、短辺1px伸びた。
14分ほど撮りつづけてあったので、映像化して見てみると、微妙にうねりつつずれていく。大きな星像で正確には読み取れないが、1pxぐらいふらつきながら3pxぐらい動くイメージ。
SP赤道儀のウォームホイールの歯数は144。ピリオディックモーションの周期は10分なので、時間的には見えてもおかしくない。
135mmで1280×960pxとすると、1pxは約0.68′≒41"。SPの上位版、軽量級ではピカイチのSP-DX赤道儀で10″とか15″とかいう世界なので、極軸が微妙にずれてそれを写し取ってしまったと思われる。


前回撮影分では、ダーク引きが足りない感じがした。マイナス値無視が原因か、などと予想したので確認してみた。


合成前、新ダーク群引き

30オフセット加算での
合成前に新ダーク群引き

合成後に新ダーク引き
1枚目は、前回の5番の画像。
合成前にあらかじめ、撮影画像1枚に対しダーク画像を1枚引き、これを64枚作成。それらを平均コンポジットし、ガンマ補正をかけたもの。

2枚目は、あらかじめ撮影画像にゲタを履かせたもの。
星野写真は、輝星部は白飛びしているものの、他は総じて値が小さい。ダークマスク画像も、生のままではほとんど黒にしか見えない。値にして30以下程度。
ダーク引きでマイナスが無視されることが問題であれば、0をベースでなく30をベースにすれば、ダイナミックレンジは狭まる(8bit→7.8bit程度)ものの、マイナス値は計算時には保存される。
あらかじめRGBに30ずつのゲタを履かせ、ダーク引きし、平均コンポジット。最後にガンマ補正をかける際、入力レンジを30~255とすることで下駄を脱がせた。

熱カブリのピンクがより引かれ、全体に締まった印象。微光星も見やすい。
一方で、背景のムラは少し荒くなり、ピンクも完全には引き切れてない。なによりダークスポットが発生して見苦しい。

3枚目は、撮像、およびダーク画像をそれぞれ平均コンポジット。各々48bitTIFFで保存し、そのまま引いてみたもの。ダイナミックレンジはそのまま、コンマ1bitたりともこぼしてない。
TIFF同士を引けるツールは持ってないので、WSH用のスクリプトを書いて処理した。

結果は、黒点だらけ。より引け、より締まった印象だが、スポットが多すぎてかえって見づらい。
ダーク画像をぼかすなど、あれこれ試してみたものの、30ゲタ画像より減ることはなかった。

個別にダーク引きをしてからコンポジットするのが、もっともまともな画像になった。
仮に引いた時点でダークスポットが出ても、ゼロに補正され、コンポジットで均されることで、きれいになるよう。


Yimgにはいくつかのコンポジット方法がある。平均化と最大(=比較明)は使ったので解るが、他がピンとこないので試してみた。画像は今回撮影の、オリオン腰下を使う。合成枚数は同じく64枚。


平均

加算(ガンマ補正なし)

加算

最大

最小

コントラスト最大

コントラスト最大(反転)
「平均」は当記事冒頭の画像。
平均化された画像。フィルム時代に「コンポジット」と言っていたのがコレだと思われる。だいぶ軟調。

「加算」は、おそらく単純に足していったもの。16枚でかなり白トビしてしまったので、合成はそこまでとした。これにはガンマ補正をかけない画像も付しておく。
かなり硬調。ぱっと見はいい感じだが、微光星は見えてない。キタムラとかフジカラーとかのフィルムのCD化が、こんなカリカリの仕上げになる。かつて「重ね焼き」と称したのが、こんな絵柄だった気がする。

「最大」は先に述べたとおりで、いわゆる比較明合成。重なるピクセルのうち、最大のデータを採用する。
背景ノイズもピークが抽出されるので、バックグラウンドは持ち上がってノイジーになる。
撮影対象は「平均」と差がないように見える。結局は8秒露出をどれだけ重ねても、8秒で写らなければどうにもならないということか。

「最小」は、最大の逆で、背景は非常に綺麗だが、撮影対象もかなり消えてしまう。何に使ったらいいのか、正直よくわからない。

「コントラスト最大」は、平均化より締まって見えるものの、背景のムラは増す。上記「30ゲタ」のようなイメージ。
ダークスポットも見えず、微光星は見やすいが、ムラと見間違えそうなところもある。ムラが引き立つということは、淡い星雲は見やすくなるのかもしれない。M42も、気持ち良像化する。
アルゴリズムがよく解らないが、意外と使えるかも。

最後の反転画像はおまけ。BTJ32で階調反転したもの。
淡い部分を確認するには、こちらの方が見やすいかもしれない。どっかの天文台の、写真乾板のような雰囲気でもある。

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