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好条件のISS(2015/10/25)
人工衛星といえば、ISS(国際宇宙ステーション)とイリジウムフレアが定番。マイナス等級で煌々と輝き、派手で見栄えがする。

好条件の眩いそれもいいが、たまには特殊な条件のものも見たくなる。
一例が、先日撮ったISS日面通過や月面通過。わずか0.5°の円内を通り、シルエットが見られたりする。木星との絡みを狙う人もいる。月面イリジウムフレア、なんてのもありそうだが、レアすぎるのか画像検索には上がってこない。

今回は超低空通過に挑戦してみた。年明けの千葉の低空イリジウムフレアの上を行くようなものを狙いたい。
普段の予報確認は、Heavens-Aboveを利用している。ただこのサイト、10°を切るようなものは弾いているらしい。検出するツールを見つけられなかったので、SatelliteTrackerをひたすら眺めて探すことにした。

ちなみに低空で有名なカノープス(α Car)は、赤緯-52.7°。浜松市北区では、大気の浮き上がりを考えても3°足らずになる。本来は-0.7等の明るい星だが、2等星クラスで瞬いている。
仰角3°で真冬の透明度なら、3等級減程度で見えることになる。イリジウムフレアは、最大-8等クラス、ISSも条件がよければ-3等を超える。つまり3°ぐらいなら、十分に1等星並みに見えるのではないか……という算段。


ところがいざ挑んでみると、なかなか見ることは叶わない。


2016/5/4 Iridium75フレア

サテライトトラッカーの予報
Heavens-Above予報に出てこないもので、初めて見えたのが3/27、3時前のISS。仰角7.4°。2等星台で見えたものの、一瞬で雲に入ってしまった。
上手くすれば富士山と同一フレームで、などと色気を出して、撮り損ねてしまった。

次に見えたのは、5/4、9時半過ぎの、イリジウム75のフレア。
仰角6.26°、距離2636km、ミラー角0.72°。地上地図でいうと、カムチャッカ半島を縦断し、海上に出たあたり。フレアセンターは、三重県松阪市を通る。
これは3等程度に見え、辛うじて写った。低空には霧、靄がかかり、浜松風力発電所の障害表示灯が一部見えなくなるような天候。

さんざんトライしては見えず、を繰り返しての結果これだけ。なかなか5°切りにはお目にかかれない。


そして、やっとその時は来た。


2016/6/1 ISS@根本山

サテライトトラッカー俯瞰図

サテライトトラッカー星空モード

6/1のISS。仰角は3.43°。

ISSは傾斜角51.6°で飛んでいる。つまり北緯51.6°の上空を飛ぶわけで、日本の近くでは樺太の中北部を通過する。
このあたりの夏場は、深夜でも薄明が継続する。ISSも影に入らないので、最北端通過時も計算上は見ることができる。

撮影地は浜松市北区、根本山。最高点に合わせてフレーミングしたが、見え出したのはピークを越えたあたりからだった。
赤黒く瞬きつつ、ゆっくりと移動していく。光度は3~4等級。ISSまでの距離は2000km近い。

ISSは、来るときと去るときとで予報光度が異なる。太陽パネルの向きなどの関係と思われるが、今回の見え方がその影響か単に空の具合なのかは判らない。
映像は、AviUtlでガンマ補正などを強力に掛けてある。背景ノイズとあまり差がないので、1枚画像にはできなかった。

ともかく、最北端を飛ぶISSは浜松からも確認できた。
天気とタイミングが合えば、一晩に5回ぐらいISSを眺められることもわかった。


そしてイリジウムフレアも。


2016/7/4 Iridium6@庄内半島

サテライトトラッカー俯瞰図

サテライトトラッカー星空モード

7/4未明には、イリジウムフレアが見られた。
予報では、イリジウム6、イリジウム51と、立て続けにフレアが起きる。しかもミラー角は0.22/0.23°と、ほぼど真ん中。

フレア時のイリジウムは、ロシア~モンゴルの国境あたり、バイカル湖の南東上空にいる。
衛星までの距離は、およそ3000km。仰角は2.74°。

撮影地は庄内半島西岸。浜名湖から本坂峠の坊ヶ峰を望む。
カシオペヤから蠍まで、天の川がよく見える好天。ところが1時過ぎには、はっきりと判る白い雲がかかる。よりによって……と思っていたら、イベント時刻には消え去ってくれた。

赤くゆっくり灯り、またゆっくり消えていった。3等星程度。
映像では、左上方向で少し再増光しているが、肉眼では気づかなかった。
またイリジウム6に続いて、10秒後にイリジウム51フレアが見えるはずだったが、こちらは確認できなかった。


当初は、1等級クラスで楽勝ではないか、などと高を括っていたのだが、思いのほか暗かった。
限られた光量の反射光が、低仰角のために100kmスケールで展ばされる。星の1等星と人工衛星の1等星は、条件によっては違って見えるのかもしれない。

さらには低空で、ヘイズの影響をたっぷり受けてようやく届く。ISSもイリジウムも、このあたりが見える限界と思われる。

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