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鳶ノ巣山などを遠望@根本山
正月2日。長期予報では最高気温15℃という声もあり、これなら2000mでも雪解けか、などと温い楽観を胸に水窪へ向かう。が、街を外れれば路面は真っ白。しばし逡巡するも引き返す。
ただのドライブも悔しいので、引き返しついでに鳶ノ巣山とびのすやまへ寄ってきた。振りかえれば2009年以来、実に7年ぶり。

鳶ノ巣山は、かつては引佐町いなさちょうの、現在は浜松市北区の最高峰の地位にある。山頂こそ新城市だが、700mを越える唯一の地。山頂まで植林で目新しさは無いものの、御節の腹ごなしにはちょうどいい。

浜松市街からは、R257で北上、浜松いなさ北ICから三遠南信道(無料)で行くのが早い。
渋川寺野ICで下り、案内などに従って東行、県道298(渋川鳳来線)へぶつかったら北上する。まもなくY字路になるので、「大平・川宇連方面」とある右の市道を行く。やがて車一台がやっとの道になるが、集落も抜けてひたすら道なりに行けば、鳶ノ巣山の麓に着く。
Y字路を左手にとって愛知県側から向かえば、かなり上の方まで、それこそ登山道入口まで車で行けそう。ただし、そちらを回ったことはないので、ゲート等があるかもしれない。

地図に、うろついたGPSログを重ねてみた。

地図画像は、GoogleMapおよび地理院地図。半透明表示ができないので、ルートあり/無し2枚の画像を作成して合成した。
地理院地図にも上空からの写真はあるが、GoogleMapの方が新しい。記事内容との兼ね合いもあるのでGoogleを採用した。

車を停めたのは、ぐじゃぐじゃ周ったルートの一番下の角、285m標高点あたりの地点。
午前中遅くから歩き始めたので、ぶらぶらと半日強程度の行程。

ちなみに、GoogleMapでは「蔦ノ巣山」となっている。山頂の位置も違う。
明らかな間違いだが、これはGoogleではなく提携先のゼンリンの間違い。いつもNAVI、Yahoo、gooなど、提携しているサイトはすべてダメ。


スタート地点
駐車地点には、東海自然歩道や林道起点 川宇連I線などの案内板がある。
直進北上は行止りで、断続的なコンクリ舗装。鎖のゲートはあるが、常に開いている。右手はアスファルト舗装とコンクリ舗装がだいぶ上まで続いている。最終的には、愛知県側へ車道幅のままつながっている。

直虎記事でも触れたが、このあたりは都田川の源流域になる。
県道298は川に沿っている。都田川から名前が変わって、川宇連かうれ川、久留米木くるめき川、などと呼ばれるらしい。川は車の後ろを流れている。

まずは正面の、この川沿いの道を北上する。
地理院地図では川が東になっているが、実際は分岐路のあたりまで川が西側を流れている。


前回の登り口
いくつか脇道を見やりながら林道を行くと、「東海自然歩道 ←入口 鳳来町」という看板がある。地図では、道路分岐の少し上、GPSログが団子になっている標高350m付近。

前回はここから、左の斜面にある山道を登り、559m標高点付近の三叉路に出た。当時から道は荒れつつあったものの、伐採直後のような見晴らしのいい状態だった。

現在は、道の面影がわずかに残るのみで、完全に藪。木も7年分育ち、見通しも利かない。三叉路付近に、虫垂のような短い道が描かれているが、この道ですら藪化している。


林道行止り

砂防ダム上流側
すでに尾根が明るい

沢沿いは足元が良くない
そのままコンクリ舗装の林道を上っていく。

いくつか砂防ダムがあり、路肩が崩れたところもあるが、歩くには支障ない。合計180mほど標高を稼ぐと林道が終わる。
地図を眺めると、この行止りから上の林道まで標高差100m程度。植林帯ならそう苦もなくいけるのではないか、と見回すと、やはりリボンがあった。

砂防ダム上流の沢の流れは、ふた跨ぎ程度。都田川もここまで細くなる。
その沢の左に沿って踏み跡がある。すぐに枯れ沢となり、踏み跡も消える。ルートを右よりに、東向きにして登っていく。
尾根にたどり着くと、きれいな尾根道。そして、すぐに林道へと出た。

標高差はあまり無いので、砂防ダムからでも尾根は明るい。沢向こうの正面の林床は小奇麗に見える。
谷筋を行くより、沢を渡って正面の尾根を目指した方が、歩きやすかったかもしれない。

たどり着いた林道には、休憩ベンチと案内板。標高575mぐらい。
なんとGoogleカーはここまで来ていて、ストリートビューも見られる。「寺平2.6Km(60分)」が読めるので間違いない。
スタート地点から右手の道を上がってくれば、この少し東あたりまで舗装されている。

鳶ノ巣山はこれより西なので、登山口めざして林道を北へ、そして西へと向かう。この先はすべてダートになる。
前回は、登山口付近で風車が見えた。気にしながら見ていくと、風車の見えるポイントはいくつもあった。


林道の開けた場所から振り返る

以前の登山口付近
林道の脇道として、間伐作業道がいくつも作られている。道といっても、重機でなんとか通れるレベルのもの。
鳶ノ巣山上部にも2本あり、1本は山頂東の鞍部へ向かい、1本は登山道を2度抉っている。地理院地図の空撮には無いが、GoogleMapでは見ることができる。

鳶ノ巣山登山口は、山頂の南西、標高540m付近。林道が開けているところの東端あたり。「寺平4.2Km(90分)、県境0.6Km(15分)」という案内板がある。かつては、かなり控えめな登山口案内板もあったが、今は何も無い。
そのすぐ東に新設作業道があり、目と鼻の先で登山道を抉っているので、そこから入れる。登山道自体は前回と特に変わらない、ごく普通の歩きやすい山道。

2度目の作業道の抉りでルートを失うが、基本的に尾根道。抉った先の尾根を見れば道は続いている。


風車列とアクトタワー
石だらけの地点を過ぎた640m付近で、風車群のよく見えるポイントがあった。

浜松風力発電所の風車列全景と三岳山。5号機と6号機の間にはアクトタワーが重なる。
視程が長ければ、アクトタワーの高さ分程度の遠州灘が見えたはず。ヘイズが多いのが残念。


三角点

鳶ノ巣山山頂
歩を進めると、669.9mに三角点があり、そして山頂に着く。地図では706m、山頂看板には710mという記載もある。

GPSロガーの標高値はあてにならないが、しばらく観察していると703m~713mの間で変化していた。いずれにせよ、700mちょっと越えの地、ということのよう。


ケルン
山頂を過ぎると、踏み跡もリボンもほとんど無くなる。南東に尾根が伸びるのでそれを下っていけばいいが、緩くてハッキリしない場所もある。簡易でもコンパスがあると安心。
まもなく石積み(ケルン)が見える。何かを祀ってあるようには見えなかった。

尾根は歩きやすいものの、このあたりにはもう山道はない。南を見下ろすと、すぐそこに作業道。試しに下りてやや登りで東行してみると、再び尾根鞍部に合流。
再び尾根に乗っていくと、まもなく660m余の小ピークに着く。7年前には雪山が眺められたが、木々が育ったせいか眺望はいまいち。

小ピークには東と南に道があり、南へ下って林道に戻った。山中から林道へ降りるのに高さがあり、少々難儀する。
下りたカーブは、ベンチと薄汚れた渋川つつじの説明版、「寺平3.5Km(80分) 県境1.3Km(25分)」の道標がある地点。

あとは車まで、だだ下るだけ。


蕾の上がったミツマタ

ミツマタの群生地

結構でかいスギ

年輪を数えてみる
脇道も少し覗いてみた。
鳶ノ巣山南西の三叉路から西へ向かうと、路面良好の砂利道。遠くにゴルフ場が見える。
三叉路から南へは、林道 向久保六田沢線。ガードレールなど整備はされているが、ジムニーでもスタックしそうな轍が放置されている。

三叉路から北東方向が、林道 鳶ノ巣線。鳶ノ巣山中腹を横切り、GPSログの右端、天日山(大日山)への分岐路までが、この林道。
そこから天日山へは、林道 大日線が通じる。その交差点から駐車地点までが、林道 川宇連I線と思われる。

真冬なので目立った草花は無いが、ミツマタが今にも咲きそうな蕾を掲げていた。
登山道でもちらほら見られたが、林道 川宇連I線の標高455mあたりの谷筋には群落がある。自然発生なのか人工的なのかは判らないが、道路の上にも下にも。林床の下草の黄緑色は、ほぼすべてがミツマタ。

間伐だけでなく伐採も行われていた。
ミツマタ群落からさらに下ってくると、だいぶ太いスギが伐られていた。道路沿いだったので年輪を数えてみると120年余。不明瞭な部分もあるが、明治中後期に植えられたもののよう。伊藤博文が首相を務め、大日本帝国憲法が発布されたころ。
どんな人たちが、どんな様子で、何を思って植えたのか。100有余年の間、この樹はこの山奥で何を見てきたのか。思いを馳せるのもまた一興。
正月早々、まさかの花粉でくしゃみ連発している子孫など、植えた人々は想像もしなかっただろうなぁ……

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